―ゴルフ―
35歳ころ定期的にゴルフに関わる状況ができた。多くの理論派ゴルファーと同様、スイングの理論解析を試みた。生活の全ては掛けず(本業は破綻していない、一応)、余暇の全ても掛けなかったが継続的に20年取り組んだテーマ。
「ミレニアム問題」や「フェルマー問題」は数学分野の超難問グループに含まれる。数学の超難問群は一般人には問題の意味さえ理解困難だが、「フェルマー問題」は中学生でも意味を理解できる問題であった。運動神経に少し自信のある理論派にとって何とかなりそうに思えるスイング構築は、解決に長年月の数学の進歩を要した「フェルマー問題」と同類に思える。
分からない者にとって「スイング解析」、解き方を忘れた「大学入試の数学」、「フェルマー問題」は(客観的なレベル差とは無関係に)単一群に属する。
その名称:「一見、何とかなりそうな解答方法が分からない問題群」。
―「問題:ゴルフスイング(85/白)」―
「問題:ゴルフスイング」の解答は1ラウンド72打数のスイングレベルに対応すべきであるが、{プロ、シングル、アベレージ、ビギナー}ではラウンド目標は明らかに異なる。それぞれのスイングプログラムのコードも、バグの出現頻度も、演算速度も多種多様であろう。
一般問題としての「問題:ゴルフスイング」の体裁は不完全であり、目標のスイングレベルを明示することが望ましい。
「問題:ゴルフスイング(スイングレベル)」
目標レベルの提示が{シングル、アベレージ、ビギナー}では具体性に欠けるのでラウンド打数を指標にするのが実際的であろう。もっともラウンド打数はスイングレベルとラウンド戦略、アプローチ、パターなどの総合的な結果であるから必ずしもスイングレベルに対応しないが、一応の目安にはなる。
体力や運動神経が平均的な普通のアマチアが、一応納得できるラウンドを「白ティー使用の85打数ラウンド」と想定した場合、
「問題:ゴルフスイング(85/白)」
が取り組むべき問題となる。解答に要求される理論精度は自然科学や数学分野の要求レベルとは根本的に異なり(極論すれば)科学的に正確である必要はない。ゴルファーが適当に理論を利用した結果、そこそこ納得できるスイング構築ができればよいのである。
―「4軸構造」―
「問題:ゴルフスイング(85/白)」に対する一つの解答である。
想定している読み手:小学校時代は運動能力の良いグループではあったがトップには届かず、中学~高校と体育会系の運動部には所属しないで大学では同好会の運動サークルで楽しんだ大人。
想定している球筋:すべてのショットでストレート。
想定レベル:まれにハーフ30台がでて、50~100ラウンドに一度70台がでるかも知れないスイングレベル。
目標ラウンド:
白ティー使用のハーフラウンドの目標は4ボギー、1バーディーの39打。
2ホール毎で1打の余裕。ストローク8回に1回のミスが許される
・・・ダボは打たないようにしよう!
目標ショット:
ドライバーショット:200ヤード先の20ヤード幅のフェアウェー。
アイアンショット :150ヤード先の20ヤード幅のグリーン。
パターの許容範囲 :ボール(4.3㎝)の2倍以上のホール(10.8㎝)。
見方によればなんとも大らかな条件ではあるが、実践ラウンドでの達成は難しい。
―スイングプログラム―
ゴルフスイングを{ホーム~テイクバック~トップ}、{~ダウンスイング~インパクト}、{~フォロー~フィニッシュ}の3相・7ブロックに分けた。
ゴルファーAがクリアできるブロック間の連結部をゴルファーBがクリアできない現象は一般的にみられることで、AとBのスイング構築過程を含むゴルフ歴や運動能力の差に起因する。
スイングプログラムはブロック間で円滑に連動することが必要であるが、その成否はプログラムコードの質とゴルファーの運動能力との総合的な結果による。運動神経の良いゴルファーによるプログラムの評価はプログラムコードの弱点を潜伏させ普通のヒトには使いこなせないスイングプログラムを可とする場合がある。
「問題:ゴルフスイング(85/白)」の解答としての「4軸構造:スイングプログラム」はゴルフ感が蓄積されてない(普通の運動神経の)ビギナーにとって有用か否か・・・がポイントであろう。
―ドライバーによるスイング構築―
「4軸スイングの構築」にはドライバー練習がお奨めである。
その理由
ⅰ)シャフトが長いためシャフトのタワミを作りやすい。
ⅱ)波としてのタワミが近位振動節~ヒール間を伝播する時間が(他のクラブより)長いため、{クラブ姿勢+身体運動}の制御に余裕がもてる。
ⅲ)クラブ重心位置~グリップ間が長いためスイングフェーズに対応した適正なクラブ重心支持様式が必要(=スイングにゴマカシがきかない)。
「到達目標;ゆったりフルスイングで150ヤードのストレートボール」
「4軸スイング」の第1関門は「トップ姿勢」ではあるが、きっと面白くなさそうなので実際的な第一歩としてはインパクトジャイロを意識した打球練習がよいかもしれない・・・
―リバース・スイングドリル―
左打ちドライバーのスイング練習をスイングプログラムの弱点の検証法として利用した。
本来の右打ちゴルファーは左打ちのゴルフ勘に乏しいためリバース・プログラムコードにギャップや弱点が存在した場合、それを左打ちで安定処理することは難しい。リバース・プログラムが偶然に連動することは起こりえても「一定確率でのスイング再現性」は期待できないのである。リバース・スイングドリルは右打ちゴルファーが(普通に)処理できるため潜伏してしまう可能性をもつ「プログラムコードの軽いギャップや小さな弱点」をも明らかにする。
レベル差のある複数のプログラム間には本質的にギャップが存在するので、スイングプログラムの追究作業はエンドレスに出現してくる「プログラムコードのギャップや弱点」との戦いでもある。
―
スイング理論の評価―
日本舞踊のお師匠さんは弟子に「お手本」を踊って見せる。スキーのインストラクターは生徒に滑って見せる。提示されたパーホーマンスが上質だと弟子や生徒は納得し信頼する。
フィギアスケートではスケーティングの完成度が点数として評価され、ゴルフでは結果としてのスコアのみが評価される。スコアから算出されたハンディキャップはゴルフスイングの完成度の目安ではあるが、完成度そのものを担保しない。
インターネット上でのスイング理論やレッスンサイトでは「情報発信者自身のスイングを画像で提示」することが「説得力の決め手」だろう。
・・・「4軸構造」の画像モデルはすべて著者自身である
―3次元座標・個別座標―
他人のスイングを評価する場合には「3次元座標内の(他人の)スイングを鳥瞰できる安定視点」を選択可能であるが、自己のスイングでは「客観的な安定視点」の選択は難しく基準目線を頭部においた評価にならざるを得ない。
外後頭隆起を原点にした個別座標は評価基準系の1つであり、基本コンセプトは「個別座標内に投射したスイング写像を(スイングの)安定性と再現性の確保に利用すること」である。
個別座標のスイング作業では圏を設定し、適当な投射平面を選択し、関心領域(点)の位置関係を作図した写像群が連続して出現するが、投射平面や写像上の関心領域の位置関係などには本質的な意味はない。
写像の必要条件は
「1写像と現実のスイングを細分した1シーンが1:1で対応すること」
「写像を構成する選択平面、関心領域(点)の位置関係に安定した再現性があること」
「写像群の連続性が一意的に決定されること」
である。
―アドレスの踵―
アドレス時に両足踵線、両肩の線を目標方向にセットすることは必然か?
「ボールが目標方向の運動ベクトルをもつこと」
「クラブフェースがボールに目標方向の運動ベクトルを与える仕事をすること」
「ゴルファーがクラブ重心を(インパクトで)目標方向に振ること」
は演繹的にほぼ同値であるが、
「肩幅に開いた両足の踵線を目標に合わせること」をどう展開しても
「ボールが目標方向の運動ベクトルをもつこと」には行き着かない。せいぜい「両足の踵線で目標方向を確認できる気がする」のである。
ゴルファーAのスタンス形態は、Aの体格・骨格の特徴とスイング構築作業の積み重ねによってAのスタイルに収斂していくと考えられる。
スタンス形態は一つの結果でありスイング構築のスタートには不向きである。換言すれば、体型・骨格の検討なしの「両踵を平行にしたスタンスからのスイング構築」は「感を頼りのバクチ」に近い暴挙である。
―慣性モーメント―
ゴルフスイングで注目されている慣性モーメント
慣性モーメントとは、物体の回転のしにくさを表す量である。正確には回転運動の変化(回りだす、止まる)のしにくさを表す。質量のモーメント・・・実感がわかない!
回転運動は個別座標での認識が難しい運動であった。慣性モーメントを考えながらクラブの回転運動を把握できる能力は一種の天才なのだろう。複数の慣性モーメントと体と肩の回転、腕の動き、体重移動、右肘と腕の使い方などが協調する必要性が強調されているが、慣性モーメントという概念をスイング構築に利用する具体的な方法論は確立されていない。
方法論が成立していない状況で、慣性モーメントをスイング構築に組み込もうとすること・・・凡人にはお勧めできない。
慣性モーメントという物理的概念を理解することとスイング構築にその概念を利用することとは別の事象である。
―複数作業の同時進行―
専門的な訓練をつんだ人(例えばプロドラマー)は左右の手足で同時に独立した仕事が可能であるが、一般人が同時進行できる具体的な作業は精々2つである。
訓練すれば2つの同時作業に軽度の情緒的なイメージは追加できるかもしれないが、そのイメージが強くなりすぎると仕事手順がとんでしまう。スイング時に確実に意識できる項目は少ない。
「箇条書きしたスイングの注意点メモはラウンド後に思い出すためにあったのか?」
「憎いライバルの冷笑が頭に浮かんだ途端、私のショットは悲惨街道まっしぐら!」
―スイングテンポ―
筋肉の収縮速度はその大小を問わず一定であるため「スイングテンポがゆっくりであること」と「スイングの作業過程が細分化されていること」とは同値である。完成度の高いゆったりしたスイングは細分化されたスイングプログラムで構成される。
「超早スイング」:各姿勢間での連続性に乏しいアドレス、トップとインパクトで構成。
「ゆったりスイング」:各姿勢間の連続性が保たれたホーム、バックスイング、トップ、ダウンスイング、インパクトとフォロースルーで構成。
ではあるが・・・
一般的に、ある未修得運動の「運動プログラムの反復練習」では大脳皮質が支配する随意運動系(古典的な錐体路)でのプログラム・トレースをへて脳幹投射の運動系(古典的な錐体外路)での運動実行へ転換がおこる。
プログラムが「洗練された簡潔なプログラム」であれば急速な経過で目的運動が習得され、「雑念のない静かなパーフォーマンス」が成立する。
「ゆったりスイング」の各姿勢間の連結プログラムが洗練されたプログラムであれば「静かなスイング」に通じるのかもしれない。
ゴルフスイングは「芸事に近い立ち位置」にあって
「クラブをあげて、下ろすだけ」
「そこにあるボールを打つだけ」
が一つの到達点のような気がする・・・・・路ははるかに遠い Ф
―「インパクトは写像」―
ボートのオール、ボートの舵、クラブは一群をなす。基本構造はポールの先端に作用板が付いた道具で並び順は{オール、クラブ、舵}。
オールはポール先端の直前方に付いた作用板で水を掻きボートの推進力を得る。作用板の仕事様式;ポールのタワミを利用して水を掻いている。大きな力がでるが安定性に欠けそう。
舵はポール先端の直角に付いた作用板で水流を制御してボートの進行方向をコントロールする。作用板の仕事様式;ポールをネジルことで作用版の位置・姿勢を制御している。制御の安定度がポイントのようだ。
ゴルフクラブはポール先端に斜めに作用板が付いていてオールと舵の中間の形態をしている。機能特性は{力、制御}といえるか・・・
・・・文脈発現:「インパクトは写像!?」
インパクトされたボールは与えられた運動エネルギーに対応する距離を打ち出された方向へ飛行するからボールの飛行現象の要素は
{距離、方向}である。スイングインパクトを一種の演算とみなせば
インパクト:{クラブ∥力、制御}→{ボール∥距離、方向}
がめでたく成立するのであった。
―タイトル:「4軸構造」―
「4軸構造」のタイトルは適当か? 4軸は補助軸を意味しているが、内容的には脊柱軸のほうがより重要である。
発表論文のタイトルは内容を表現していることが大切だが、少しミステリアスでチャーミングであることが望ましい・・・と思う。
5、6、7軸では語感が重く読むまえに嫌になってしまいそうなので「4軸構造」にきめた・・・・・♪
―龍玉―
☆1;身体条件としての“柔軟性”の確保
柔軟性:脊柱、胸郭、肩甲骨の可動性が不足するとスイング構築が不自由
筋力アップは努力目標:筋力が弱いと飛距離は望めないが筋力にあったクラブ選択でスイング構築は可能
☆2;平衡バランスを安定させるための深部感覚訓練
位識点シフトによる姿勢調節反射を利用した僅かな体重移動→体重に比して軽いクラブの力学バランスをとるポイント
☆3;クラブの物理的特性(重心、シャフトの振動節)の理解
☆4;“トップの切り返し”の作業構造の理解
☆5;シャフトプレーン上の”シャフトシナリ動態”の理解
☆6;“インパクト” の構造理解
☆7;信念 & 努力・根性・気合~♪♪